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散文詩  靖国神社詣で

    散文詩  靖国神社詣で
   - 東京法律事務所九条の会に-

                     わたなべ まさお

ひとりの爺さんが、靖国神社にやってきました。
爺さんは、大鳥居をくぐり 初冬の 参道の青空を黄色く
染めていく 銀杏(いちょう)並木を見上げながら
拝殿に向かって歩いていきます。
爺さんは、戦死したふたりの叔父さんや義兄に会いたいと
訪ねてきたのです。

拝殿のまえに立った爺さんは、想いが詰まってきたのか
あらあら 「なむあみだぶつ」 とつぶやいています。
ここ お寺ではないのに 般若心経をとなえはじめました。
困ったことに 爺さんは すこし認知症がはじまっています。
それでも お経は覚えていて 靖国の本殿をみつめながら
読経をはじめております。

昔の青年いま爺さんを、靖国の秋風がつつんでいます。

爺さんには、神殿に並んでいる大勢の英霊の命(みこと)達
の様子が見えてきました。
やっぱり今でも 東条首相を先頭に整列しておられるようで
爺さんは、後ろの方に フィリッピン・レイテ島で戦死した
ふたりの叔父と、ビルマ(ミャンマ-)のマンダレ-で戦死
した義兄の姿をどうにか見つけだしました。
爺さんがお経をとなえていると、英霊の命(みこと)達からも
低いつぶやきが聞こえてくるのです。


そのとき突然 爺さんの眼のおくに 日本軍が、上海の浜辺に
構えた支那軍のト-チカめがけて、突撃していく情景が現れて
きました。倒れていく日本の兵隊さん達が遠くに見えます。
「お国のために」「東洋平和のために」と厳命された攻撃。でも
其処は、別の国びとの生きる街 支那の市民たちが暮らしている
街でした。また
爺さんの視界の奥には、はるか太平洋戦争末期 靖国神社周辺の
町並も、爆撃で焼け焦がれ 人びと死傷し、九段上から 東京湾
までも見通せた、暗い冬の風景が浮かんできました。
英霊たちも、「なむあみだぶつ」と唱えているのか 低い重い
声 爺さんの胸中を揺すぶってくるのです。
命(みこと)になられて 遙かな歳月 私たちを見守ってこ
られた英霊の方々は、いまどんな想いで 昭和の戦争を沈思
深想しておられるのか。

神社には、出撃命令で、戦死した爺さんの身内が居り
戦場に倒れた 大勢の英霊の命(みこと)が鎮座され
かたや 戦争を開始し、進撃を厳命した政府首脳の英霊も
座っていて、今も、司令官・兵卒 整然とならんでいる様子。
戦争は、日本の 中国の 米英などの、人びとのいのちを
断ち切り 家族の仕合わせをうばいとり。日本社会を爆砕。
70年以前の、戦争の不義 むごたらしい惨状でした。


英霊の皆さんは、自分達が被った苦難を、子供や孫たち子孫
には、絶対に繰り返えさせないと願っておられるのでしょう。
それなのに 安倍政権は、なんで「集団的自衛権の行使」という
「戦争」などを企むのか。殺戮兵器の更新。戦争は地獄の旋律。
人びとの命や幸せを、国に捧げるべきだという「国益」とは?
一体誰のためですか、何のためなのか?「民益」の破戒です。
でも 拒否すれば 「お前は非国民」だと、ど突かれるのでは。
靖国の英霊たちは「とんでもない破滅の道だ」とささやいて
「しっかりしろ、瞞されるんじゃないよ」と諭しておられる。
爺さんの身内の命(みこと)たちは、もう話すのも嫌だ あの
残酷な戦争の毎日は 真っ平ご免だと 怒りにうちふるえ。

靖国に 戦争無情の鐘ひびき 沙羅双樹の花とじる

俗世を、いま懸命に泳いでいる 日本の人びとに
英霊の命(みこと)たちは呟(つぶや)いておられる。
「やめさせろ集団的自衛権行使」なんて。
皆さん 平和な国造りをこそ頼みますぞ・・・

気がつけば あれ、
爺さんの姿、神社奉安殿のおくに 背をかがめ 消え失せ。
銀杏(いちょう)の梢が、木枯らし吹く 蒼空にゆれています。

~ 2014,11~
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